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磁気を持ったら離さないハードフェライト、そんな執着がないソフトフェライト。コラボすると?

1.ここのふたつのフェライトがある。一方は磁力の信念に満ちたハードくん(ハードフェライト)、もう一方は優柔不断なソフトくん(ソフトフェライト)。
ハードくんは信念の男。ひとたび磁気を帯びると永久磁石として磁気を持ち続ける。一方ソフトくんは、周りに磁気仲間がいると永久磁石のフリをするが、そんな奴らが去ると無気力、もとい無磁力になる、信念のカケラもない軟弱野郎だ。

永久磁石にあるハードフェライト、気を抜くと磁力が消失するソフトフェライト


2.だったら、軟弱ソフトくんは屁の突っ張りににもならんカス・フェライトなのだろうか。いやいやそんなことはない。世の多様性は、お互いを認め合うことから始まり、そして組み合わさることで新たなパワーを発揮するものなのだ。

ハードフェライトチームでやる気を出すソフトフェライト


3.ハードくんと一緒に仕事をするソフトくんは、ハードくんの信念に触発され共に一体の永久磁石となって強力な磁気を生む。その磁気パワーでスイッチの接点を引っ張ればスイッチをON(またはOFF)にしておくことができるのだ!

ソフトフェライトと一緒に大きな磁石になる


4.ソフト君やるじゃん!・・・その評価は待ってほしい。実はヤツは暑さ次第で態度が豹変するのだ。盛り上がってる綱引きで急に腰砕けをするヤツ、新記録がかかる大縄跳びで足を引っ掛けるヤツ・・・そんなトラウマが私の今の人生に大きな影を落としている・・・が、つまり周囲が熱くなって一定温度に達すると、ソフトくんは根性が切れて急に磁力を放棄する腰折れ野郎なのだ。最強のパートナーは一瞬でただの石に還る

ソフトフェライトのキュリー温度を超えると磁力が消失する


5,「このヘタレ野郎!」 背中に罵声を浴び彼は肩を落とす・・・しかしよく見てほしい。ソフトくん脱落のおかげで、さっきまで磁力でガッツリくっついていた接点が一定温度で瞬時にOFF(またはON)されるた。つまりこれは切れ味鋭い温度スイッチになったってこと。粘らずにさっさと折れる潔さも大切なんだ、軟弱だって多様性なんだよソフトくん。

キュリー温度で磁力がなくなったソフトフェライト


6.強い信念のハードくんは立派だ! しかし彼だけでこの素晴らしい機能を得ることができただろうか? 根性無しとバカにされていた(えっ?誰に?)ソフトくんがいて初めて発現できた能力じゃないか。このことを是非覚えておいてほしい。それこそが、人類が次のステージへ登り未来へ向かうための大事な教訓だと思うからだ!

ソフトフェライトとハードフェライトのコラボパワー


7.ちなみに、この温感フェライトを用いた温度センサーには次の様な特徴がある。高い信頼性・長寿命、高速応答性、小型軽量、測定範囲:-10~+130℃ 精度±2.5℃。巧みな温度管理でほっかほっかなご飯を提供する炊飯器などに使われるのは、そんな優れた特性のおかげなんだね。

美味しいご飯が炊けるのは温感フェライトのおかげ


※フェライト:酸化鉄を主成分に、ニッケルやコバルトを混合した粉体を千度以上の高温で焼結させた磁性材料。
※キュリー点(Curie point):物質が磁性を失う境界となる温度のこと。熱振動よって材料が乱れ磁気を失う。キュリー温度は材質によって異なる。
※温感フェライト以外に温度を感知して電気回路をコントロールするものには、サーモスタット、サーミスタなどもあり、それぞれの特性に応じて使い分けられている。
※「役に立たない」というのは「(あなたが)期待した機能を発揮しない」ということであって、(あなた以外の)ひとが使えばとんでもない威力を発揮する。なんてことはいっぱいありそうです。

: 2021/11/12

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