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GOLD EP / GOLD EP WHITE

もっと上質な不動態膜で腐食と金属溶出に勝つ!

より厚く・より堅固に・より均質に

GOLD EP(ゴールドEP/略称GEP)、GOLD EP WHITE (ゴールドEPホワイト/略称GEPW)は、電解研磨(EP: Electro Polishing, electrolytic polishing, electropolishing)の特性を伸ばし高品質化しました。

GOLD EP/GOLD EP WHITEは、加工しやすさや強度などステンレスの持つ優れた特徴を活かしつつ、より耐食性を高め、より金属溶出を抑えた表面処理です。ステンレスの適用範囲を大きく拡げるウルトラクリーン技術です。

目次(リンク付)

1.GEP/GEPW処理について

表⾯処理技術であるGOLD EP(GEP)およびGOLD EP WHITE(GEPW)は、⼀般的な電解研磨(EP)の追加処理として⾏います。EP済みのステンレス材をGEP処理で熱処理すると、表層の鉄酸化層と下層のクロム酸化層が共に厚みを増し成⻑します(一般EPの約10倍)。GEPWはGEP後、表層の鉄酸化層を除去し成⻑したクロム酸化被膜だけを残したものです。

電解研磨処理前

電解研磨(EP)

GEP処理

GEPW処理

表面は加工変質しており、不均質な酸化状態で、パーティクルも飛び出しやすい。

電解研磨によって汚れや不均質な表面が除去され、平坦で滑らかなメタル生地となる。

気中雰囲気で熱処理。表面上層には鉄酸化膜、下層にはクロム酸化膜が形成。酸化膜は一般EPの約10倍を持つ2層構造の不動態層となる。

上層の鉄酸化膜を薬液で除去。表面は一般EP の約3倍の厚みを持ったクロム酸化膜の不働態層となる。

表面は、結晶構造の変質や汚れの付着など、物理的な加工の影響を色濃く受けている。

耐食性に優れたクロムが濃縮した層(クロムリッチ層) が存在する。厚みは1~3nm(ナノ・メートル)

残存酸素の多いアルコールやオゾン水などに対し、金属溶出が少ない。

超純水、有機アミン系薬液に対し、金属溶出が少ない。

2.GEP/GEPWの特徴と表面構造

(1)特徴

GOLD EP/GOLD EP WHITEには、一般的な電解研磨の特徴をより強化した次のような優れた特徴を持ちます。

  • 金属イオンの溶出や、TOC(総有機炭素)汚染対策に有効
    GOLD EP:残存酸素の多いアルコールやオゾン水による溶出に強い
    GOLD EP WHITE超純水や有機アミン系薬液による溶出に強い

  • 高い平滑度の表面を持ち、パーティクル(塵・ホコリ・異物・ダストなど)に強い

  • 耐熱性、耐圧性に優れ適用範囲が広い

  • 曲げ加工、フェルール接続、溶接などの加工性や施工性に優れる

  • 機械強度はステンレス鋼と同等

※TOC(全有機体炭素:Total Organic Carbon:TOC):
水質汚染の代表的な指標。水は生物由来、糖、アルコール、樹脂、油などの様々な有機物で汚染されている。それら有機物が持つ炭素(C)の総量を元に指標化している。


(2)表面被膜構造(GEP)

GOLD EPは適切な熱処理を施すことによって、以下のように耐腐食性やクリーン度の向上に有効な表面構造と特質を持ちます。

i) アモルファスセラミックス構造

熱処理によって生成された金属酸化物は、表面組成にばらつきの少ないアモルファス化したセラミックス構造の、大変強固でクリーンな表面になる。

※機械研磨後の金属表面は、加工による熱のかかり方が一様ではないため表面組成にはバラツキが生じ、腐食の起点となる脆弱な組成部分が生じやすい。

ii) 厚い不動態皮膜と表層へのクロム凝縮

表面処理によって、表面から比較的深い層まで組成変化し不動態化している。また、極浅い表層部にもクロム成分が凝縮されているので、耐食性が向上している。

【グラフ2-1 大まかな表面組成の状態 - GEP】

iii) 表面に吸着する有機成分量が希少

大気中で生成される不動態皮膜では有機物による表面汚染は避けられない。しかしGOLD EPでは熱処理により、洗浄では除去できない金属表面に頑固に吸着する炭素化合物(有機物)が極めて少ない炭素クリーンな状態に仕上げることが可能。

【グラフ2-2 研磨方式の違いによる炭素量分析/SUS316(AESによる測定)】

ⅳ) その他不純物が希少

GOLD EPは表面付近の微量な不純物を調べても、他の一般的な表面処理に比べ検出される不純物元素が少なくクリーンな状態。不純物は微量でも表面の物性に影響を与える場合がある。

※AES:オージェ電子分光法(AES:Auger Electron Spectroscopy):
元素固有の値を持つオージェ電子の運動エネルギー計測によって、試料表面を構成する元素を分析する方法。試料表面に電子線を照射しオージェ電子を放出させる。

※エメリー:
コランダム(Corundum)と呼ばれる酸化アルミニウム結晶からなる鉱物。磁鉄鉱や赤鉄鉱などが混ざる粒状ものはエメリー(emery)と呼ばれ天然研磨材として用いられる。

※鉄イオン溶出量の推移についての参考文献:神鋼パンテック技報 Vol.34 №1(1990/3)「ゴールドEP」


(3)表面被膜構造(GEPW)

GOLD EP処理の後、化学処理で鉄酸化皮膜を除去したGOLD EP WHITEの表面組成の状態は以下の通りです。

【グラフ2-3 大まかな表面組成の状態 - GEPW】

3.GEP/GEPWの特性グラフ

残存酸素の多いアルコールやオゾン水の金属溶出に強いGOLD EP(GEP)と、超純水やアミン系薬液に対する金属溶出に強みがあるGOLD EP WHITEそれぞれについて当社実測データを示します。

(1)GOLD EP(GEP)の特性


3-1-1:
アルコール液中におけるステンレス鋼材BA(光輝焼鈍)、一般電解研磨(EP)、GOLD EP(GEP)の金属溶出量を4週間測定。

【グラフ3-1-1 GEPのアルコールに対する金属溶出28日測定 】


3-1-2:
3種類の樹脂とGOLD EP(GEP)の金属溶出の総量を測定。

【グラフ3-1-2 GEPのオゾン対する金属イオンの総溶出量】

比較対象の樹脂
C-PVC : Chlorinated PolyVinyl Chloride 塩素化ポリ塩化ビニル
PVDF : poly vinylidene fluoride ポリフッ化ビニリデン
PFA : copolymer of tetrafluoroethylene (C2F4) and PerFluoroAlkoxyethylene 四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂

※ppt : 一兆分率 (参考 ppm : 百万分率)


3-1-3:
GOLD EP(GEP)の母材としてSUS304、SUS316を用いた場合の金属溶出量を比較したグラフ。(加速試験としてPH1の塩酸中に浸漬)
同じGEPでもSUS316ベースの方が安定して鉄イオンの溶出が抑えられており良好です。

【グラフ3-1-3 GEP母材後外による金属溶出量の違い】


3-1-4:
SUS316に三種類の表面処理(#320バフ研磨/#1500鏡面仕上げ/GOLD EP)を施して金属溶出量を比較したグラフ。(加速試験としてPH1の塩酸中に浸漬)
同じSUS316でも、GEPが施された材料の方が大幅に鉄イオンの溶出が抑えられています。

【グラフ3-1-4 SUS316の表面処理による金属溶出量の違い】

(2)GOLD EP WHITE(GEPW)の特性


3-2-1:
配管材に用いられる樹脂4種類とステンレス電解研磨各グレードの、超純水に対する初期溶出の比較を4週間行った結果。

【グラフ3-2-1 GEPWの超純水中の金属溶出28日測定】

比較対象の塩ビ系樹脂
HT-PVC : (thermal resistance)poly vinyl chloride (耐熱性)ポリ塩化ビニル
PVDF : poly vinylidene fluoride ポリふっ化ビニリデン
PEEK : polyetheretherketone ポリエーテルエーテルケトン
PPS : poly phenylene sulfone ポリフェニレンスルフィド

超純水による腐食性:
当社もサニタリー用ステンレス製品の電解研磨後に超純水を用いた洗浄を行うことがあります。超純水は、微粒子、菌、有機物、金属イオンなどを嫌うクリーン製品(例えば半導体ウエハーなど)の洗浄等に良く用いられます。超純水は腐食性が高いため塩ビ系樹脂の配管を用いることもありますが、配管材からの溶出や殺菌処理のための熱耐性などに問題が生じる場合があります。
GOLD EPあるいはGOLD EP WHITEなどはステンレス材でありながら耐腐食性や溶出特性に優れることから、条件によっては超純水配管への適用も可能なステンレス配管材となり得ます。


3-2-2:
アミン系液中における金属溶出の比較を、一般電解研磨(EP)とGOLD EP WHIE(GEPW)で4週間行った結果。

【グラフ3-2-2 GEPWの超純水中の金属溶出28日測定】

4.GEP処理をした製品のサンプル

オゾン(O3 )は放置しておけば安定した酸素(O2 )に変化します。オゾンは酸素に変化する過程で、細菌やウイルスなどを構成する生体成分を酸化し破壊・不活性化することができます。非加熱で殺菌や消臭が可能なので、オゾンは食品製造・加工分野で広範に用いられています。

食品製造・加工ではステンレスの容器や配管を多用しますが、オゾンはオーステナイト系ステンレスに対して大変強い腐食作用を持つことでも知られており、十分配慮する必要があります。

ポンプ

配管類

フィルターハウジング

オゾン水用バルブ

酒造では、数十ppb程度の微量の鉄イオンの溶出でも、鉄イオンと酒が反応し変色や味の劣化が生じます。GOLD EPは、ろ過装置、配管、バルブ類への適用にもご検討いただけます。

また、高真空環境での所定真空への到達時間短縮や、高純度ガス配管ライン、金属溶出による製品の電気的特性が気になる装置など、大変シビアなプロセスラインでもご利用いただけます。

5.GEPW処理をした製品のサンプル

アミンはアンモニア(NH4 )水素がアルキル基に置換されたもので、自然界では腐敗や発酵中に微生物が生成します。半導体製造(ドライエッチング)や医薬品製造の原料としてよく用いられます。

洗浄チャンバー

アミン系薬液用継手

洗浄槽

真空チャンバー

アミン系を流す配管では、アミンやその溶液中に含まれる不純物の種類、温度や流速などによって腐食速度が高まる場合があります。

6.GEP/GEPW処理をしたその他サンプル写真

【チーズ(TEE) 一般的な電解研磨(EP)とGOLD EP(GEP)】


【90度エルボ 一般的な電解研磨(EP)とGOLD EP(GEP)】【GEPサンプル】

「電解研磨(EP)」の詳細はこちらをご覧ください。

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